定期接種ワクチン

ヒブワクチン

ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型:5歳未満の小児特に乳幼児で重症化する肺炎、髄膜炎などを発症する病原体です。

小児用肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌:肺炎、髄膜炎、中耳炎などを発症する病原体です。5歳未満の乳幼児で重症化することが知られています。

B型肝炎ワクチン

B型肝炎ウイルス:血液を介して感染します。一過性の感染で治癒する場合と持続的に無症状ながら感染状態が続く場合(キャリア化)があります。感染時に発症した際には、急性肝炎と慢性肝炎の経過を取る場合があり、急性肝炎の一部は劇症化し命に関わります。小児期に感染した場合はキャリア化する場合が多く、その中から慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝癌などの病気を起こします。

4種混合ワクチン(DPT-IPV:ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)

ジフテリア菌:喉に感染します。一部の菌株から産生される毒素により、呼吸筋や心筋が麻痺する命に関わる症状を起こします。現在はまれな疾患ですが、ジフテリアを発症した場合10-20%が死に至る重大な病気です。
百日咳菌:上気道に感染し激しい咳を起こします。短い咳が連続し、息を吸うときにヒューっと笛を吹いたような音が特徴で、1歳以下特に6ヶ月以下の乳児で呼吸困難から命にかかわる場合があります。
破傷風菌:世界中の土壌に存在します。傷口から体内に侵入し、毒素を産生します。破傷風菌の毒素は神経に作用し、筋肉の痙攣を起こします。1968年以降に定期接種に組み込まれたため、それ以前の生まれの方は予防接種をしていないことが多いようです。現在でも年間100例程度の発症があり、そのうち数名が亡くなられています。
ポリオウイルス:ヒトだけに感染するウイルスです。経口的に体内に侵入し、最終的に中枢神経に至ります。運動神経を破壊することで重篤な神経障害を起こします。日本では1980年を最後に新規の発症例はありません。WHOが天然痘に続き世界での根絶を目指しているウイルスの一つです。以前は生ワクチンが接種されていましたが、日本では現在は不活化ワクチンが採用されています。

日本脳炎ワクチン

日本脳炎ウイルス:蚊を介してヒトに感染します。ヒトからヒトに感染することはなく、ウイルスが増殖したブタを蚊が吸血し、その後ヒトを刺すことで感染が確立します。大多数の感染者は無症状で経過しますが、0.1%程度の割合で発症し、発熱・頭痛・嘔吐・めまい・意識障害から、麻痺・不随意運動・振戦といった神経障害を起こします。発症者の20-40%が亡くなるとされてます。

ロタワクチン

ロタウイルス:ウイルス性腸炎を起こします。乳幼児期にかかりやすく、水様下痢、嘔吐、発熱、腹痛が主な症状です。5歳までにほぼ全てのヒトが感染すると言われています。脱水症状が進行しやすく、重症例は点滴のために入院が必要となります。
当院ではロタリックス(経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン)を採用しています。生後24週までに4週間空けて2回経口接種します。まれに副反応で腸重積(腸管が内側に折り重なってはまり込んでしまう状態)を起こすことがあります。ワクチン接種から嘔吐や突然の啼泣、血便などがあれば直ぐにご相談ください。

MRワクチン(麻疹・風疹ワクチン)

麻疹ウイルス(はしか):飛沫感染・接触感染・空気感染による全身感染症です。数あるウイルスの中でも非常に感染力が強いことが知られています。以前は日本でも国内発症を認めましたが、現在はワクチン接種が徹底されたこともあり、海外からの輸入例を認めるにとどまっています。感染すると10日程度で感冒症状が始まり、その後高熱とともに全身性の発疹が出現します。まれに脳炎や肺炎を起こすことがあり、命に関わる場合や後遺症を残すことがあります。
風疹ウイルス(ふうしん):飛沫・接触により感染します。淡い発疹や発熱、耳の後ろや首のリンパ節の腫れが主な症状です。麻疹と異なり一般的には軽症で済みますが、妊婦が感染すると先天性風疹症候群(目や耳、脳の異常、精神発育遅滞など)を赤ちゃんに起こすことがあります。

水痘(水ぼうそう)ワクチン

水痘・帯状疱疹ウイルス:飛沫感染・接触感染・空気感染により感染発症します。発熱と発疹(赤いスポット→水疱→膿疱→カサブタ)が特徴ですが、発熱がない場合もあります。まれに脳炎や肺炎を起こします。一度感染するとヒトの神経に住み着き、生涯を共にします。成人以降に帯状疱疹を起こすことがあります。

BCG(結核ワクチン)

結核菌:空気感染により肺から侵入します。一般的には、数年後にゆっくりと肺炎を起こしてきますが、リンパ節や骨、腎臓、脳など全身の臓器に感染する可能性があります。特に、乳幼児が感染した場合には血液から肺全体に広がる粟粒結核(重症な肺炎)に至ったり、結核性髄膜炎を起こすことがあり、重症化することがあります。
ワクチン接種後15分程度院内で経過観察を行います。接種は予約制となりますので、事前にご連絡ください。

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン(子宮頸がんワクチン)

HPV(ヒトパピローマウイルス):接触感染(性交渉)で感染します。性交渉経験のある女性は(男性も)50%以上が生涯で一度は感染すると言われています。尋常性疣贅(イボ)の原因となるウイルスですが、子宮頸がん(女性)、尖圭コンジローマ(男性)、肛門がんなども発症します。その中でも、近年若い女性の子宮頸がんの発症が増加が問題となっています。
小学6年生から高校1年生の女子を対象に定期接種が行われており、子宮頸がんの50-70%が予防できるとされます。
ご希望の方はお住まいの市区町村の予防接種担当課にご連絡ください。
(目黒区は保健予防課・予防接種係:03-5722-7047)